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別の、向こう側 〜その3〜

つづき、ってよくないですね。
なにせ大会から24日も経過していますもの、乱子の記憶力なんて毎秒ズレと妄想にやられてここに書く頃には事実無根なんてことは非日常茶飯事です。

それを踏まえてよっぽどお暇な方だけ読み流してください。

で。

第1CP(スタートから30キロ地点)。

空知単板の看板の前では、トシちゃんがカメラを構えています。

トシちゃんとロクオンジは、こんなだめだめな私たちの到着をも、笑顔で喜んでくれるのです。

知っているヒトがこうしてCPにいて迎えてくれることのありがたさ。

昨年は悲惨な状態でしたが、今年は余裕の体。

やきとり(なんと2000本が用意されていたとか)とバナナをほおばります。

ここまでの道のり、すでに折り返して歩いてくる何人もの参加者から

冷たいキュウリ、あるよー

と励まされ、

(乱子) キュウリっ!

(ゆきゆき) キュウリっ!!!

(乱子)キュウリっ!

(ゆきゆき)キュウリっ!!!

と無理矢理テンションをあげながら歩いたというのに、到着が遅すぎたのでしょう、600本用意されていたというキュウリの浅漬けは私たちを待っていてはくれませんでした。

なにをかくそう、わたくし乱子、きゅうりが大好物。

忘れもしない17歳(昨年ですね)の頃、みるみる食欲を失った時期に唯一むさぼり食えたのがキュウリの千切りにすこしお醤油をたらしたものでした。

友人宅へ招かれた際にも、何が食べたい?と問われ

きゅうりの千切り

と答えていたほどです。

その後、千切りは面倒くさい私は、まるごときゅうり1本に、生ハムを2、3枚巻き付けてボリボリ言わせながら食べるという品の良さを身につけました。

これはここ数年3日に1度はやっています。

そのきゅうりを逃した・・・。

顔で笑って心で激怒。

休憩中のこの誰と誰と誰が私のきゅうりを食べたのか、と恨みがましくねめ回します。

そんな雰囲気を察してか、そそくさとマッサージを受けに行くゆきゆきに、

私はまだ余裕があるから もっと辛そうなヒトにゆずる

とかかっこいいことを言った15分後にはサポーターの手厚いマッサージを受けていました。

やぶけそうな太ももも、新種の深海魚みたいな足の指も今年はありません。

練習もしていないのに、まだ2回目だというのに、この違いはなんだろう。

ゆきゆきなんて、

あたし、完歩できちゃうかもー

とビッグマウスも甚だしい始末。

この調子なら最低50キロ、できれば70キロの達成も夢ではないのかしら、などと乱子も白昼夢を見ておりました。

いよいよ第2CP(スタートから40キロ地点)へ向けて折り返します。

途中、またしても次なるCPの用意に向かうロクオンジとトシちゃんの車が声援を送ってくれます。

優しい・・・。

昨年は空知川を渡る頃にはでっかい夕陽が落ちて行こうとしていましたが、今年はまだまだ明るい中を通過。

ああ、ここでトシちゃんに会ったのだ、と感慨深いものがありました。

さて第2CPではまさかのさつえい係夫妻と再会!

昨年は締切時間ギリギリの真っ暗の中到着していたのですから、成長したものです。

ガンガン鍋にもありつけました。

ここからいよいよ第3CP(スタートから48.7キロ)を目指すわけですが、昨年はトシちゃんが泣き言三昧の私たちを鼓舞し、なぐさめ、励ましてくれながら引率してくれたわけです。

真っ暗で長く、平坦でまっすぐな道も、雨が降ったせいか田んぼからカエルが飛び出しまくりで車道に出そうになるのを1匹1匹捕まえて田んぼに戻したりして、足の痛みは相当なものとはいえ、気持ち的には非常に楽ではありました。

しかし。

今年はゆきゆきとふたりきり。

もともとそんなに喋るふたりではありません。

元来面倒くさがりのO型ふたり。

なんかおもしろいこと、喋ってくれないかなー

とお互い待っているうちに、険悪なふたりみたいに無言のまま何キロも歩く事になりがちです。

トシちゃんの存在って、大きかったよね

ゆきゆきのつぶやきが、私にプレッシャーを与えます。

そうだね

と答えるも、後が続きません。

どうして小咄のひとつも用意しておかなかったんだろう、と悔やまれます。

ゆきゆきに元気を与える話題といったら、食べ物のことしかありません。

やっとの思いで、第3CPでは昨年たいやきがもらえたね!と叫んでみます。

そんな私の涙ぐましい気遣いもむなしく、

それは去年第1CPで余ったのをもらったんじゃなかったっけ 今年はたいやきなかったからないんじゃない

と一蹴されます。

来年からは絶対に小咄だ、と固く心に誓った瞬間です。

不穏な空気が流れ、少し持ち直し、また不穏な空気・・・を何度か繰り返しながらも、私たちは昨年のリタイヤポイントである第3CP、スキルアップセンターへ到着しました。

食べ物がなかったら、どうしよう(ゆきゆきが怖い)

私の祈りが通じたのでしょうか、なんとセンターの入り口では、うちわでぱたぱたあおぎながら、炙りたての焼き鳥が配られています。

あつあつの、焼き鳥!

ゆきゆきの顔がぱっと輝きます。

ほっとする、私。

ほおばる、彼女。

センターには体育館のように広々としたスペースにマットが敷かれ、やはりサポーターからのマッサージ、
医療班?から肉刺のケアなどが受けられます。

もちろん靴を脱ぎ捨て、マッサージを受ける気満々の私。

ロクオンジがそこでも待っていてくれ、御自らの手で下がりまくった私の血を、上へ上へと戻すように手当してくれました。

この頃になると、もはやなにもかもがどうでもよくなっている私は、人目も気にせずトイレでじゃぶじゃぶ顔を洗い、ついでに頭まで洗いました。

ここでもさつえい係夫妻に一目会うことができ、ずいぶん励みになったものです。

ロクオンジは、この先はもう第9CPでしか会えないらしく、それは残念また明日(ふれあいの里で会いましょう、の意味)・・・とお別れの挨拶をしたところ、

何を言うか!第9CPで待ってるよ

と念を押されます。

第9ってあーた!スタートから95、2キロ地点ですよ、と心で叫ぶ私たち。

とりあえずにやにやしながら誤摩化して、いよいよ第4CP(スタートから54.7キロ地点)を目指します。

最低50キロ、を目標に掲げた私たち。

さあ、靴を履いて出発です。

私の靴・・・。

2012100kmtakikawakutsu3cp.jpg

いやな予感がしましたが、おでこにくくりつけたヘッドライトも勇ましく、歩き出します。

朝の冷え込み、日中の暑さ、そしてまたぐんと冷え始めるという気温差に、ゆきゆきの呼吸器は悲鳴をあげはじめていたようです。

彼女はびっくりするぐらいの寒がりなのです。

1度誘われて行った夏のキャンプでも、越冬隊のような重装備で寝るのです。

よも嫁は半袖、裸足にサンダルでした。

ゴアテックスは、雨は防げるけど、通気性が良すぎるのだ!云々と文句たらたらです。

仕方なく、もしもの時にと用意していた貼るカイロを差し出します。

えー、いいのぅ?げんぞう(ゆきゆきは私をこう呼びます)たりなくなるんじゃないー?

と言いながら、もう袋を切っています。

思えばこの時、普段は鈍感なくせに妙なところでは敏感な私は、すでに一抹の不安がよぎっていたのでした。

もう、ほとんど無言な私たち。

ゆきゆきのテンションがみるみる下がっていくのが、手に取るようにわかります。

普段ならおねむの時間ということもあり、日中ですらゆっくりな私のお脳はほぼ停止状態。

気の利いた一言なんて出る筈もありません。

ふれあいの里は、まだか

焦りと疲れと眠気のトリプルパンチが容赦なく二人を襲い、昨年よりはマシとはいえ、足もほとんど上がらなくなっているからでしょう、何もないところで躓きまくりです。

アザラシ橋(仮名)の急勾配を目の前にしたときには、

えええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇ

という不満爆発の溜め息まじりの悲鳴が上がりました。

お気づきでしょうか、別の、向こう側 〜その3〜、写真がほとんどありません。

撮影・・・、そんな余裕はこれっぽっちだってないのです。

カメラをサブバッグから取り出してシャッターを押す

それだけのことすら、辛いしんどいめんどくさい。

やがて意気揚々とスタートしてから長い列をなして歩いた、あのまっすぐな歩道にさしかかったころ、

ようやく、ゆきゆきを元気づけなくちゃという気持ちが湧いてきました。

もうすぐだよ 豚汁が待ってるよ おにぎりだって 待ってるよ

(乱子) 豚汁!

(ゆきゆき)豚汁・・・

(乱子)豚汁!

(ゆきゆき)豚汁・・・

(乱子)豚汁!

(ゆきゆき)・・・。

ああ、ダメです。きゅうりのときのようにはいきません。

もう、自分の辛さよりもゆきゆきの怒りのほうにおののいて、心無しか足取りまで早くなっています。

早くつきますように、ゆきゆきが、キレませんように

やがて、何やら見覚えのある灯の列が現れた時、半ば叫ぶように後方のゆきゆきに話しかけます。

ほら!ふれ愛の里の駐車場の光だよ!あと少し!もう豚汁の匂いもしてきたんじゃない?

うつむいて歩いていたであろうゆきゆきの顔が上がったのを感じました。

ふたりとも、あと数十メートル歩けば、第4CPに到着すると信じて疑いませんでした。

(乱子)豚汁!

(ゆきゆき)とーんじるっ!!

(乱子)豚汁!

(ゆきゆき)とーんじるっ!!!

ところが。

歩けども歩けども、ふれ愛の里が見えてきません。

それどころか、光の列はいつしか消え、また鬱蒼と茂る草むらばかりになってきました。

やばい、間違えた

そうです、テキトウな情報発信は祖母譲りの私です。

乱子、今日は雨だって

と後志地方の天気予報を教えてくれたり、(乱子は石狩地方)

真夏に

乱子!明日マイナス2℃だって!

と、前日比をそのまま伝えてくれる祖母のその血が、脈々と私の中に流れているのを実感した瞬間でした。

後方を歩くゆきゆきは一言も喋りません。

喋りはしませんが、ものすごい殺気を発しているのがわかります。

げんぞうのうそつき、げんぞうのうそつき

呪文のような心の叫びも、私の耳にはつんざくように届きます。

怖くて怖くて、ますます私の歩みはスピードを上げ、寒さと空腹と痛みでカメ歩きになっているゆきゆきとの差は広がるばかり。

間違いに気づかないフリを決め込んで歩く私を、

ちょっとは待ちなさいよ

と睨みながら後を追うゆきゆき。

もういっそ、走ってしまいたい

足の痛みは増しているにも関わらず、私にそこまで思わせたのはひとえにゆきゆきの怒り、悲しみ、空腹、そして呪い。

地獄のような静けさが、歓声で突き破られたのは、それからどのくらいのことだったでしょう。

恐怖で縮こまり、存在感すら薄まっていたのでしょう、私にはまるで気づかなかったさつえい係夫妻が、

すでに第4CPでの休憩を終え、折り返してきたところで怒りで膨張していたゆきゆきを発見したのです。

これをチャンスとばかりに、ゆきゆきのところまで戻る私。

これをチャンスとばかりに、夫妻にうそつきがいるとチクる彼女。

とにもかくにも、この再会をきっかけに、一触即発の事態は免れました。

ありがとう、夫妻。

その4につづく。(まだか!)
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